宮沢賢治にゆかりのある材木町商店街、
そのメインストリートは「いーはとーぶアベニュー」と呼ばれ、
賢治童話の世界をモチーフにした6つのモニュメントでファンタジックな賢治の世界を堪能できます。
どのモニュメントからも、自然の小さな生命を語り、また慈しんだ賢治のメッセージが伝わってきます。
宮沢賢治(1896年~1933年)は盛岡中学校(現在の盛岡一高)、さらに全国初の高等農林学校(現在の岩手大学農学部)で勉学に励み、13歳から24歳までの多感な時期を、こちら盛岡で過ごしました。
「石座(いしざ)」
「いーはとーぶアベニュー」に入ると最初に目に留まるのが”宮沢賢治像”と”石座(いしざ)”のモニュメント」です。
石の採掘場で休む賢治を描いた彫刻「石座」。
“宮沢賢治像”の座っているのは花崗岩(かこうがん)。
その後ろには安山岩(あんざんがん)、閃緑岩(せんりょくがん)などが並んでいます。幼少の頃より”石(いし)ッコ賢さん”と呼ばれるほど、鉱物採集に熱心であった宮沢賢治にぴったりのモニュメントです。
賢治の手の中にはある動物が握られています。見つけられるかな?
「星座(ほしざ)」
夜になると淡い灯が点滅する銀河系をイメージした「星座」。
「銀河鉄道の夜」「よだかの星」「星めぐりの歌」など銀河や星座を舞台とした作品を残した賢治は、天文学・宇宙学にも造詣が深かったと言われている。
「星めぐりの歌」は東京オリンピックの閉会式で、女優 大竹しのぶにより披露された。花巻市出身の詩人の作品について、式典のエグゼクティブプロデューサー日置貴之さんは「東日本大震災からの復興の思いを込めた」と意図を話した。
「音座(おんざ)」
チェロのオブジェから賢治の作曲した『星めぐりの歌』が聞こえる「音座」。童話『セロ弾きのゴーシュ』に登場し、自らも演奏したセロ(チェロ)がデザインされています。
賢治は大正15年12月、東京に上京した際に「新交響楽団(現NHK交響楽団)」の大津三郎氏からチェロを習っている。
また賢治は暇を見つけてはレコードを買っていた。地方の割によく売れるのでポリドールレコードから花巻の高喜商店に問い合わせがあり、町一番のコレクター賢治の名を挙げたところ、賢治あてに感謝状が贈られたという。
※正しい読み方「おんざ」
「絹座(きぬざ)」
賢治あこがれのシルクロードがモチーフの「絹座」。
碑の側面には次のように書かれています。
「ロマン街道”シルクロード”西国浄土に夢を馳せた賢治もこの道をたどり、ヨーロッパやオリエント文化に大きな関心をよせ、物心交流の「夢」を描いた。」
中国の古典で賢治が最も好きだった「西遊記」。岩手大学の図書館には、賢治が愛読したとされる書籍が今も残っています。その作品の影響は「春と修羅」や「銀河鉄道の夜」にも見て取れます。
「花座(はなざ)」
賢治の設計した花壇をイメージした「花座」。
宮沢賢治は日時計花壇の設計でも知られています。羅須地人協会時代の教え子の依頼で花巻温泉遊園地のために設計したが、経済的・技術的条件で実現できなかったと言われています。現在は当時の設計書と手紙をもとに、花巻市の宮沢賢治記念館に再現されています。
また花巻温泉バラ園にも宮沢賢治設計の日時計花壇が展示されています。
「詩座(うたざ)」
賢治が詠んだ短歌を記した陶板を設けた「詩座」。
「青りんご すこしならっべて つつましく まなこをつむる 露店のわかもの」
「ある星は われのみひとり 大空を うたがひ行くと なみだぐみたり」
「鬼ぐるみ 黄金のあかごを 吐かんとて 波立つ枝を あさひに延ばす」
三首の短歌は、上からそれぞれ、盛岡高等農林学校入学前の18才、在学中の20才、卒業後の24才の時の作品で、賢治の歌作人生の三つの時期からとられています。
題材も、「りんご」、「星」、「くるみ」という、いかにも賢治らしいテーマです。
また「雨ニモマケズ」は、賢治の死後、手帳に書かれていたものが発見されたものです。